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志方あきこ (Akiko Shikata) - イゥリプカ lyrics

豊穣の女神の娘、イゥリプカ。
娘は不思議な力を持っていた。
祈れは実りを、舞えば雨を、謳えば太陽を、
意のままに操ることの出来得る力があった。
しかし娘は、皇城付きの易者の予言により
益と災いを同時にもたらす者として
山奥の伽藍へと幽閉さえ、その日々を送っていた。
陽の光を、草の息吹を見ることの能わぬ、
籠の鳥のような暮らしではあったが
それは、物心の付く遙か前からの娘の常であったので
さして不満を覚えることなく、日々祈り、舞い、謳っていた。
娘の舞いにより、国は飢えることなく栄えてゆき
平穩で凡庸な日々が恒久に続くかと思われたある日の事、
娘は伽藍を訪れた旅の僧に恋をした。
僧は、翠葉薰るが如き若僧であった。
しかし若者は、僧であるがゆえ、そして旅の途中であるがため、
通り行く薫風のように娘の元から去り、山を下りた。
娘は、生を受けて初めて心を乱し、僧を思い、焦がれては嘆いた。

そして

その涙は河川を乱し、あふるる濁流となり、
その憂いは陽を通さね厚き雲となり、
呟く言霊は蝗の群となり、一つの国と五の村を滅ぼした。
更にその濁流は、去りゆく若僧をも水塵へと変えた。
国を滅ぼし、焦がれた者をも滅ぼしたと知った娘は
哀しみのあまり自らも濁流へとその身を投げた。

天候が、収獲が万事、
非常に不確かなものになったのはこの時からある。